統一地方選挙があることで、爛漫の風に乗って選挙カーの声が遠くから聞こえてきます。
広島市の公立学校ではこの週末に入学式が実施されるところが多いのですが、
この春の陽気で桜の開花が早く、週の半ばにやや天気が崩れる予報もあるため、式当日には葉桜になってしまっているかもしれません。
ともあれ、今年も春がやってきました。
公立高校入試制度が改編されて初めての入試となる2023年度高校入試も終了しました。
制度の変更に伴って出願方式が全てインターネットを通じたものになったり、5教科の学力検査が1日で終了するようになったりするなど、細かな点に至るまで変化を感じさせる入試になりました。
メディアでも新しくなった高校入試を振り返る記事や報道がいくつか出ていました。多くが自己表現に関するものでしたが、受験生はもとより中学校側、高校側ともに初めての自己表現に関して手探りの実施だったことを伺わせる内容でした。
新制度の内容については他の記事で詳しく述べていますので、今回は入試が終わって率直に感じたことを残しておこうと思います。
■学力検査の難易度が低下した?
毎年5~6月に県教委から公表される「一般学力検査の結果の概要」で詳細が判明するので、そこに注目したいのですが一次検査当日に社会の問題を見たときに「ん?」と感じました。まずは論述問題の占める割合がやはり少ないなということ(その後じっくり見てみると論述問題の割合は44%でした)。論述問題の割合が最も高ったのは2017年から2020年あたりで、配点(50点満点)の8割が論述によるものという年もありました。そこをピークに近年は減少傾向にあったので「やはり」という言葉をつけたのですが、最も強く感じたのは
実はそこではありません。
論述問題以外の問題はほぼ記号選択形式で、内容も非常に平易なものが多かったことです。ひねりや引っかけはほぼなく、まぎらわしい選択肢もない。すんなり正解を選べる問題が並んでいたので「これは平均点が上がるな」と直感的に思いました。一部の高い倍率になった高校や、上位校などでは記号選択問題ではあまり差がつかず、論述問題の出来が合否を分けたのではないかと思います。また理科や数学でも同様の易化傾向が見られたようです。
この易化の考えられる理由としては「5教科の学力検査を1日で終わらせる日程」にしたこと。以前のような論述中心の問題を立て続けに受けることの難しさを考慮したのだと思います。それは理解するのですが、塾教師の立場からすると入試とは常に「本当に努力した生徒が報われるもの」であってほしいと思っています。だから公立高校の入試問題は「練られた良問」であってほしいのですが、その意味では少し拍子抜けした感もありました。
一連の公立高校入試制度の改編の動きや教育改革、さらには県教委をめぐる報道をずっと追っていると、外野から見ていても「理想と現実」のギャップに揺れる日本の学校教育の難しさを実感します。ああ、本当はこういう風にしたいんだけど、望んだ着地点とは違う結果になってしまっているんだろうなあと。
入試が終わって痛烈に感じたことがもうひとつあるのですが、これは次回に。
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